語学に無縁の私が独学(力技)でHSK3級に合格した話

中国語を勉強し始めてHSKを受けようと決めたときに、最初はどの級から受けるか悩みませんか?
当然のことながら、3級を受けるか4級を受けるかで難易度は変わってきます。
私は受験の際、「4級は自信ない」と感じて3級を受験して、1回で合格できました

下の表が、私の3級合格時の成績です。

听力 阅读 写作 総得点 判定
82 93 96 271 合格

(それぞれ100点満点、全部で300点満点 180点以上で合格)

独学でも3級ならわりと合格しやすいと感じましたので、合格までの行動を紹介します。

ちなみに、私が3級に合格するためにした勉強法は、中国語の能力をしっかりつけるというよりも、いわゆる「ごり押し」みたいな方法です。
なので、ちゃんとした中国語の力を付けるためのステップとして、「まずはHSK3級に合格して弾みを付けたい」という方に向いている方法だと思います。

この記事は、
「HSK初受験」「HSK3級を受験する」「独学でHSK受験」
という方に役立てるよう書いています!

HSK3級は語彙力が大事

結論:HSK3級なら単語力でそこそこ点が取れる

HSK3級であれば、大事なのは単語力です。

例えば「学習」という単語があれば、「学習」という字の単語の意味と、「xué xí」という音を覚えます。
簡体字を覚える必要はありますが、日本人にとっては漢字だけ見れば意味が分かる単語も多いです。

HSK3級の合格に必要な単語数は600語と、これから英語の授業が始まる小学校で習う単語数とほぼ同じです。
ちゃんと勉強すれば覚えられる単語数ですから、まずはここから覚えていきます。

小学校で習う英単語数が600程度であることは、平成29年告示の学習指導要領にて示されています。
文部科学省 【外国語活動・外国語編】小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 (PDF:4KB) 156P
文部科学省ホームページ

HSK3級合格までに気になること

  • 「どんな勉強をしたのか」
  • 「勉強出来ない人でも合格できるのか」
  • 「どれくらいの期間勉強すればいいのか」

勉強するにあたって色々と気になるところはあると思います。

中国語検定ではなく、初めての中国語関連の検定がHSKとなったら、HSK3級の合格にはどれくらい勉強したらいいのかという感覚も分からないと思います。
特に独学なら暗中模索の気分ですよね。

けれども、HSK3級くらいであれば、独学でも十分合格することはできます
記事の続きでもう少し詳しく解説します。

「どんな勉強をしたのか」

勉強はとにかく単語を覚えて文法は少しだけ

HSK3級は単語力さえあればあらかた点数は取れますが、文法が全く不要というわけではありません。
単語を覚えながら、並行して入門用テキストで軽く文法を学びます。

主語、動詞、形容詞の並びと、副詞が動詞の前にくること。
それと、名詞と名詞を繋ぐ「的」や「是」。
接続詞の一部。
そして、数詞がつく位置と、挨拶と疑問形。

これくらいの基礎中の基礎の内容を軽く頭に入れくらいで、あとはひたすら単語の勉強をしました。

しっかり学習するとなると、3級でもまだ覚える必要がある文法はあります。
ですが、この記事は「力技」「ごり押し」で合格した、実際の経験談を紹介しているのでその辺はご了承ください。

文法学習

文法の学習用には、まったく初めての人向けのテキストを使用しました。

白水社『中国語はじめの一歩(解答なし)』第一版(2005)
(現在は第2版が出ているようです)

私はこちらのテキストを用意して、最後のページまで進めました。

全79ページと短いテキストなのでそれほど時間はかかりませんでした。
全部で13課に章立てされており、学校の授業用としても使える構成になっています。

テキストの内容は、中国語で書かれた会話形式の短い文章と、新出単語、簡単な文法の解説があります。
音声CDもついており、会話文、新出単語、文法例文の音声が入っています。
読み上げるスピードはとてもゆっくりなので、初心者でもしっかり聞き取ることが出来ます。

文法勉強法

勉強法としては、ノートを用意して、このテキストの始めのページから順番にこなしていくという単純なものです。
大事なことは、まずはピンインの発音と声調を覚えることです

テキストの最初にある発音や声調のトレーニングはしっかり取り組みます。
読み方を覚えておくと、後の単語の学習の時にとても進めやすくなります

本格的に章ごとの学習に入ったら、以下の順番で勉強を進めました。

1.載っている中国語を全部、読みながらノートに書き写す
2.テキストの文章を目で追いながら、付属のCDの音声を聴く
3.音声を聴きながら、挿絵を見て頭の中でその場面を想像しながら読む
  (1~2回)
4.場面を想像しながら、自分でゆっくり読んでみる
  (2~3回)
5.音声CDを流しながら真似して発音する(シャドーイング)
  (2~3回)

中国語を聞きながら場面を想像したのは、中国語の音とその単語や文章の意味を関連付けて覚えるためです。

そして読む練習をすることで、文章の構造や、発音の雰囲気になんとなく慣れることが出来ます。

この練習をしなくても文章を読めるようにはなるかもしれませんが、これをしておくことで、リスニングの時に多少音声が聞き取りやすくなります。
一つの章ごとに上の順番で勉強して、最後の課まで進めていきました。

単語学習

単語の学習用には、HSKに対応した単語帳を購入しました。

アスク出版『新HSK1~4級トレーニングブック』

このテキストは、1つの単語に対して1文~4文ほどの例文がついています。
音声については、1つの単語に対して、
「中国語発音(男声)」→「日本語の意味(女声)」→「例文の中国語読み上げ(男声)」
という順番で収録されています。
音声用CDはついていません。音声はアスク出版のウェブサイトからダウンロードする形になっています。
(MP3形式 ダウンロードZIPファイルで約64MB、解凍したら約101MBになります)

単語勉強法

単語の勉強法は至極単純です。
このテキストは、何級相当の単語かが★マークで表示されていて、そのうち1~3級(★~★★★)の単語をひたすら書き出しました。

1.ノートに単語とピンインを書き出す
2.書き出しながら読む

記憶の定着には、繰り返して覚えることが良いと言われています。

そこで私が行ったのは、「1日に80~100単語をノートに書きながら読む」です。
HSK3級の範囲である600単語終われば、また最初に戻って同じことを繰り返します。

1周目ですべて覚えきる必要はありません。
というか、1周目で覚えきるのは不可能です

それを2周目、3周目と繰り返すことで、少しずつ分かる単語が増えていきます。
私は最終的に5周ほど勉強しました。

音読

読みと発音の練習も行います。

1.音声を再生しながら、発音を真似して口に出す
2.音声を聞いて単語の書き取り

音声を真似して発音することで、単語の正しい発音を身に付けます。

そして、中国語の単語の音声だけを聴いて一時停止し、漢字を書きだすこともしました。
中国語の音声だけ聴いて分からなければ、日本語の意味の音声まで聞きます。

それでもわからなければテキストを見て書き出します。

これらを最低でも2周します
音と、意味と、漢字を頭の中にリンクさせるための学習です。

試験対策

単語と文法の学習をメインとして続けながら、試験の形式を確認するために、公式の過去問集もやっておきます。
実際の試験では過去問と同じ問題がそのまま出題されることもあるので、しっかりやっておいて損はありません。

孔子学院『HSK公式過去問集3級 2018年度版』

こちらのテキストはHSKから公式に出版されている過去問題集です。
2018年版は全部で5回分の試験が収録されています。
CDはついておらず、リスニング問題の音声は、本書に記載のURLからダウンロードする形になっています。

過去問で模擬試験

試験の時間内で問題を解くペースをつかむために、実際に行われている制限時間を設定して模擬試験を行います。

リスニングの問題での問題と問題の時間間隔や、試験の感覚を掴むためにも、受験前に一度はやっておきましょう。

過去問の音声でディクテーション

リスニング(听力)の問題文を聴いて、その文章を書きとる練習もしました。

一度で聞き取れることはまずないので、せめてピンインだけでも聞き取れるまでは繰り返し同じ問題を聞きます
何度聞いても分からないところは解答を見ながら書き出し、改めて問題文を聴き直しました。

「勉強出来ない人でも合格できるのか」

中高時代の英語力は5段階評価の「2」

私は中学時代、英語を全くと言っていいほど理解できませんでした。
be動詞を認識できたのは、高校受験も迫ってきていた中学三年の二学期でした 笑

それまで、単語はただ日本語訳を覚えるだけで品詞はわからず、文法も何となく並べることしか出来ませんでした。

高校受験にあたって勉強はしたものの、高校でもずっと5段階評価の2。
今に至っても人よりも英語力は低いです。

そんな私でも、HSK3級に合格することが出来ました。

英語と違って、漢字で書く中国語は、日本語と同じ漢字で同じ意味の語句がありますし、文法も英語より分かりやすいです。
複数形や過去形などがなく、動詞の形が変化することもありません。

私が現在通っているスクールの日本人の先生も、英語は苦手、とおっしゃっていますので、学生時代英語が出来なかったという人でも、中国語は覚えやすい言語だと思います

「どれくらいの期間勉強すればいいのか」

じっくりマイペースにやって3ヶ月

中国語の勉強を始めたとき私は無職でしたので、時間はたくさんありました。

平均すると約2時間を勉強にあてていて、開始から試験までの期間は2ヶ月強といったところです。
なので3級の受験までの学習時間は、2時間×75日で150時間ほどになります

前の項目でも書いた中国語文章の聞き取りに苦労して、その学習に時間を使ったので、そこがスムーズに進めばもっと学習時間は短くできると思います。
あるいは、単語テキストに載っている例文を聞く練習をすれば、この書き取り練習はしなくてもいいかもしれません。

そうすればだいたい120時間から140時間になります。

毎日一時間の学習で、早ければ3ヶ月の学習で合格を狙える位置までには到達することが出来るでしょう。

HSK3級の中国語力

以上のような勉強をして身に付く語学力の程度

単語を覚えれば文章はそこそこ読める

中国語は文法が決まった形なので、単語の意味が分かっていれば簡単な文章は読めるようになります
簡体字を覚える必要はありますが、漢字は日本人にとって馴染みも深いですので、さほど苦労もしません。

一部、日本語とは違う意味で使われている漢字、単語もありますが、それも覚えるのが大変というほどの量ではありません。

仕事でメールのやりとりをするまでには至りませんが、「もう少し勉強すればそのレベルに届くのでは?」と学習意欲を刺激してくれるほどに、中国語文章の一部が理解できます。

作文は練習量次第

ここでいう作文とは、なにか相手に伝えたい内容を自分で中国語の文章を作り出す能力のことをいいます。

これに関しては、挨拶文や、「今日私は本を買いました」くらいの簡単な文章くらいは作れるようになります。

しかし助動詞や副詞などが入ってくる文章に関しては、ある程度の練習が必要です。
私はHSK3級を受験するときにこの作文の練習をせずに受験しましたが、語順を入れ替えて文章を作る問題で、適当に並べ替えて解答するしかなかったものもありました。

今後4級も受験するとなると必要になってくる能力なので、この段階で少しでも練習したほうが良いと思います。

挨拶や自己紹介、簡単な会話はできる

簡単な質問に対して、簡単な応答が出来るようにはなると思います。

「初めまして、私は王と言います。あなたの名前は?」
「初めまして、私は佐藤と言います。日本人です。あなたも日本人ですか?」
「いいえ、私は中国人です。よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」

くらいの会話くらいは出来るようになります。

仕事で使うにはまだ厳しいですし、街中で道を尋ねられて答えたりするのにはまだ苦労するかもしれません。
ですが、ここからもう少し勉強していくことでそのくらいのレベルには達することが出来るでしょう。

リスニングの勉強はある程度必要

中国語は日本語と同じく漢字を使用する言語なだけあって、日本人にとって文章の読み書き自体は比較的覚えやすいです。

しかし口に出して読むときの音は違います。
簡単な文章でも、聴くとなると日本語とは全く違う音を聞き取らないといけません

HSKの試験には当然リスニングの問題もありますので、単語の読みについて、テキストの音声は繰り返し聞いて学習しましょう。

また、文章にすると単語同士が続いて話されるので、どこからどこまで一つの単語かを把握するのも難しくなります。
単語の音声を聴くことも、例文の音声を聴くことも、どちらも大事ですので片方に寄らないように勉強していきましょう。

まとめ

以上が私がHSK3級を取得するまでに行った勉強の内容になります。

これらの勉強をした結果、1回の受験でHSK3級を取得することが出来ました。
独学で、初めて中国語を勉強しても、HSK3級を取得することは可能です。

実は私は、「漢字が好きだから」という理由で趣味から中国語の勉強を始めました。
その辺りの個人的ないきさつなどは、↓こちらの記事↓に書いています。

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